預貯金の取引履歴の開示請求は、相続人のひとりからでもできる?

相続の対象になるものは幅広く、その数は現在108種類あります。
このブログでは、相続を専門としている司法書士、行政書士、税理士、FP、宅建士が、自分の専門分野以外だったために、知らなかった事例を紹介していきます。

今回の事例は、「被相続人の取引履歴の開示請求です」

亡き母の財産として金融機関に預金があり、過去の取引履歴の開示をしようと思っていますが、相続人は私だけではなく、妹と弟がいます。
妹と弟の許可なく、私単独での取引履歴の開示はできるのでしょうか?

このような相談もよくあります。

答えは、「取引履歴の開示請求は、相続人単独でも可能」です。

この事例は最高裁の判決でも出ています

最高裁判所第1小法廷平成21年1月22日判決によると
1 金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う
2 預金者の共同相続人の一人は,他の共同相続人全員の同意がなくても,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる

参考 第264条(準共有)
この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。
知的財産権など、所有権以外の財産権についても民法上の共有の規定が準用されるとする規定です。

金融機関によっては、通常この判例を元に取引履歴を開示してくれるところがほとんどです。

しかし、中には「弁護士からの請求でないと開示しません」という金融機関もあります。

これは、弁護士会照会をかけることを前提としていると思います。

 ※弁護士であれば、弁護士会を経由して金融機関に照会をかけることができ、その場合、公私の団体は回答義務があります。

 この制度は一般に弁護士会照会と呼ばれ、弁護士が職務上様々な役所や金融機関に問い合わせて事実関係を調査するために法律上認められた権限であり、一般の方には使えない弁護士特有の調査方法です。

本来であれば、弁護士会照会でなくても請求できるのですが、拒む所もありますので、その際にはこの判例をお伝えしてあげて下さい。

ただし例外もあります。

関西地方のある信用組合ですが、相続人からの開示請求も、弁護士からの照会も拒み、裁判をしないと開示しないという困った金融機関があります。

この信用組合は、日本の法律が通用しないのではないかと思われることが多々ありますので、こういうところもあるということに気を付けて、手続きを進めて行かなくてはいけません。

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相続手続カウンセラー協会では、相続をきっかけに家族がスムーズに再スタートを切り、さらに家族が繁栄していって欲しいと願っています。そのためには、まずは、サポートする側がしっかりした知識を得て、ケースに応じて適切なアドバイスが出来るようになることが大切だと思っています。