専門家:呉 静香さん(司法書士) | 聞き手:米田貴虎(一般社団法人相続手続カウンセラー協会代表理事) |
家族信託とは?
米田:今、話題の家族信託について、20文字位で簡単に説明していただけますか?
呉:20文字?それは難しいですね~(笑)
「元気なうちに、財産の名義と決定権を、信頼できる家族に任せること」です。
(アレ?多いかな?)
不動産などの法律行為は認知症になった時のリスクが大きいので、不動産やお金
の信託が多いです。
「元気なうちに、財産の名義と決定権を、信頼できる家族に任せること」です。
(アレ?多いかな?)
不動産などの法律行為は認知症になった時のリスクが大きいので、不動産やお金
の信託が多いです。
米田:お金の信託は必要ですか?
呉:本当はしてはいけない行為ですが、生活費などを本人に代わってATMで引き出すご家族もいらっしゃいます。ただ、施設の入居費や医療費などに大金が必要となって定期預金を解約するとなると、窓口で本人確認が必要になります。その時に、認知症のために解約できないという事態
が起こってきます。
が起こってきます。
米田:やはり認知症の方が増えてきたから、家族信託が注目されているのでしょうか?
呉:そうですね。認知症など本人が意思能力を欠いた場合の制度として成年後見制度がありますが、裁判所の監督の下で、弁護士や司法書士といった第三者が厳格に財産を管理するケースが多いため、成年後見は使いづらいという印象を持たれるようになりました。そこをカバーするように、家族信託に注目が集まってきたと
思います。
思います。
家族信託のメリットとデメリット
米田:家族信託のメリットは何ですか?
呉:成年後見の場合、認知症になってしまうと本人の意思確認ができないため、財産を守ることが優先されて、不動産を売ったり建て替えたりといった大きな変更は、裁判所の許可が必要となるために難しくなります。しかし、家族信託は裁判所を挟むことなく、あらかじめ契約に定めた範囲で財産管理を柔軟にできます。
また、無報酬・低報酬で家族に委託することができるので、継続的な費用を抑えることができる点もメリットです。
その一方で、裁判所を挟まないというのはデメリットでもあります。チェック機能がないからです。本当に信頼できる家族関係でなければ成り立たない制度でもあります。
米田:家族信託をして、子どもが勝手にお金を使ってしまっても仕方がないということですか。
呉:それが明らかになった時は問題になります。
信託?贈与?横領?と、兄弟間で揉める原因にもなります。こういったリスクをお伝えして、ご心配であれば、ご兄弟や専門家を信託監督人に設定するなど、契約書の中に抑止力を入れるようにしています。
あと、不動産信託の場合、誰でも閲覧が可能な登記簿の信託目録に、契約内容の一部が記載される点がプライバシーの保護に欠ける面もあります。
信託?贈与?横領?と、兄弟間で揉める原因にもなります。こういったリスクをお伝えして、ご心配であれば、ご兄弟や専門家を信託監督人に設定するなど、契約書の中に抑止力を入れるようにしています。
あと、不動産信託の場合、誰でも閲覧が可能な登記簿の信託目録に、契約内容の一部が記載される点がプライバシーの保護に欠ける面もあります。