相続相談事例集:土地建物の交換をしたときの特例

お母様を亡くされたAさんから、相続手続きのご依頼がありました。相続財産は、不動産と金融資産。

まずは、全ての不動産の登記簿謄本を取り寄せ、権利関係を確認しました。お母様名義の土地は叔父様が自宅敷地として利用し、叔父様名義の土地はお母様が自宅敷地として利用していました。親族間でお互いの自宅敷地を借り合うという不自然な状態が長い間続いていましたが、特にお互い不都合もなかったため、気にはなりながらもそのまま放置していたようでした。

しかし、後の世代のこと、不動産の売却など将来の不測事態などを考えると、一刻も早く自宅敷地を各々の名義にすることが望ましいと判断しました。そこで、相続手続きの完了後「土地建物の交換をしたときの特例」を活用した名義変更のご提案をしました。

通常、不動産を交換した場合には、各々が不動産を売却したものとして、所得税・住民税が課税されます。しかし、一定の要件(※下記参照)を満たす場合、確定申告をすることで、この特例を受けることができます。所得税・住民税のご負担なく自宅敷地の名義を変更することができました。

Aさんは、数年来の懸案も解決できたと、大変喜んでくださいました。

Check!【固定資産交換の特例を受けるための要件】

(1)交換する資産は、いずれも固定資産であること。※不動産業者の売買用の不動産は対象外。

(2)交換する資産は、同じ種類の資産(土地と土地、建物と建物)であること。

(3)等価交換で譲渡する資産は1年以上所有したもの。

(4)等価交換で取得する資産は相手が1年以上所有し、かつ交換目的で取得したものではないこと。

(5)取得した資産を譲渡した資産と同じ用途で使うこと。

(6)時価の差額が「高い方の土地の時価×20%」以内であること。